
2011シーズンの幕開けに相応しい、緊張感の途切れない戦いだった。
雨のFUJIはスタート直前までその雨量の想定に確証が得られず、さすがにレインタイヤの浅溝の選択は早くに打ち消されていたが、コンパウンドを決めるのにチーム、タイヤメーカーは苦慮していた。
前日のスーパーラップで驚異的な強さを見せていたGT500のミシュランタイヤは、ポールシッター、デンソーサードSC430石浦のタイヤ対する自信あふれるコメントを聞く限り、このコンディションにもその盤石さを周囲に抱かせていた。
しかし、セーフティーカースタートで周回を重ねるうちに、ドライブする石浦自身、不安に怯え始めたのだった。
「タイヤが全くあたたまらない!」
その不安は、セーフティカーが離れいよいよスタートを切った直後に現実のものとなる。
タイヤのグリップを得られないデンソーSC430は、1コーナーを何とかクリアーした後、見る間もなく後退。そして同じタイヤをチョイスしている2番手スタートのSロードGT-Rは1コーナーでコースアウトして大きく順位を下げた。
波乱の幕開けだった。
66周回のレースは、強い雨の降り続く難しい状況に各チーム苛まれることになるが、勝敗を分けたのはドライバーとチームの決断だった。
18周目、カルソニックGT-RのJ・P・デ・オリベイラのドライビングミスから、トップをおとし入れたモチュールGT-Rは、その後トレルイエが冷静に周回を重ねる。
つづく2番手に浮上したエネオスSC430の大嶋は、開幕戦のスタートドライバーというプレッシャーを感じさせない持ち前の冷静な判断でタイヤマネージメントを導き出す。
大嶋は残り周回、タイヤ無交換で行けると判断を下し、チームはピット作業を短縮、トップをとらえるべくエース伊藤に全てを託しコースへ送り出す。
これで前をいくモチュールGT-Rの出方をみるが、そのあとピットインしたモチュールも同様にタイヤをかえずに行くことを決断、再びエネオスの前に出る。
前を行く本山、追う伊藤とエースの対決は、終盤のレースを熱くする。
雨の勢いと共に、マシーンコントロールの厳しさが一層増す中、15秒以上あったその差を追う伊藤が4秒台まで縮める。
雨とタイヤ、難しい要素が交錯する中、エネオスの逆転か、それとも本山の冷静な粘りかと手に汗握る状況は、60周回を終えた後コンディションが危険と判断され、赤旗中断からそのままレース終了へ。
今季ミシュランからBSにかえて臨んだ23号車MOTUL AUTECHGT-Rが難レースの開幕戦を制した。
2位に6号車ENEOS SUSTINASC430、そして同じくタイヤ無交換が功を奏した19号車WedsSportSC430が、予選14番手から見事3位と追いあげ、500クラスデビュー戦を表彰台で飾った。
レース後、判断ミスを嘆くチーム関係者の声を耳にした。
チームの総合力が試された開幕戦だった。
「タイヤはもちろん大きなファクターだが、レースはまさに生き物だ。判断一つで全てが変わる。」
そう話したあるドライバーの苦々しい表情が印象的だった。
今年もGTが面白い。
確信できる幕開けであった。
続く岡山は、いかに。
![]()
![]()
![]()

